学科長/コース長からのごあいさつ

2023年度 工学部電気電子工学科長(大学院 総合科学技術研究科工学専攻 電気電子工学コース長)の橋本 岳です。

電気電子工学科での教育

電気電子工学科および大学院・電気電子工学コースでは充実した教育を準備しています。

入学直後には,できるだけ円滑に大学の講義に溶け込んでもらえるよう教員を囲んだ少人数セミナーを用意しており,またロボット製作実習を通じて電気電子工学の基礎に触れる創造教育実習が皆さんを待っています。2年生になると「情報エレクトロニクスコース」と「エネルギー・電子制御コース」の2つのコースに分かれ,興味ある分野で専門科目の講義を思う存分受講することができます。3年生からは1,2年生で受けた知識を活かし,より専門的で実践的な実験実習に取り組みます。そして最終学年の4年生では各人が研究室に配属され,指導教員のもと卒業研究に取り組みます。一つの研究室に数名が配属される真の意味での少人数教育を取り入れているため,指導教員から丁寧な個人指導を1年間みっちりと受けることができます。その後,全体の7割弱にあたる学生が2年間の大学院修士課程へ進学し,さらにその一部が3年間の大学院博士課程へと進学していきます。

このような一貫した綿密な教育研究プログラムの下で,電気電子工学のジェネラリストから特定の技術領域のスペシャリストまで,先導的技術者や研究者の育成が行われています。

電気電子工学科での研究

電気電子工学は社会の基盤技術であり様々な分野に応用されています。2019年末にはじまった新型コロナウイルス感染症の感染拡大は世界に大きな影響を与えると同時に,社会の大きな転換点となっています。また,地球温暖化やSDGsなどで電気電子工学の重要性は益々増えており,社会からの強い期待と要請がかつてなく高まっています。

電気電子工学科では今注目を集めている様々なテーマ,例えば,医療応用,情報・通信,エネルギー,計測・制御,光電子応用,自動車電動化などにおいて先進的な研究が行われており,そのための基盤的研究として,モーター・パワーエレクトロニクス,画像センサ,先端計測,集積回路,音声処理,通信,環境モニタリング,アンテナ(他に多数,順不同)について精力的に取り組んできています。さらに,スズキ寄附講座では自動車工学に関する最先端の研究が行われています。

静岡大学工学部の立地と関わり

三河と遠州にまたがる三遠地域は日本の自動車産業の一大集積地であり,その中心地として浜松市は発展してきました。また,浜松市は自動車産業だけでなく,楽器・音響業界においても突出した地位を築いてきており,近年は光エレクトロニクス(ニュートリノの研究で一躍有名になった光電子増倍管発祥の地)も盛んになってきています。皆さんもご存じのように,三遠地域を故郷とする豊田佐吉,本田宗一郎,鈴木道雄のほか,この地で業務を行った山葉虎楠など多くの先人が世界から認められる技術を生み出してきました。

このような地に静岡大学浜松キャンパスがあり,私たちも三遠地域の更なる産業の発展に資するべく,日々電気電子工学の教育と研究を実践しています。

卒業生の活躍

大学で学ぶ内容はそれぞれの専門分野のいわゆる入門レベルであり,決して難しくないものの,どの分野でも新しいことを学ぶときには努力して理解する必要があります。当学科,コースでは学生の皆さんが質問しやすい環境にこだわり,さまざまなサポートや少人数教育に力を入れています。また大学での研究生活は自由度も高く,皆さんがアイディアを出してそれを研究することができます。教員は豊富な知識でそれをサポートします。皆さんがここで努力したことは必ず皆さんの未来に役立ちます。

昨今,新型コロナウイルス感染症問題や環境,平和などの多面的な不安による就職難も一部取り沙汰されていますが,当学科・コースの就職内定率はリーマンショック以降も毎年ほぼ100%と非常に高い水準を維持してきました。その理由は,これまでの教育研究が社会で評価されているからであり,今後もそのような素晴らしい教育研究をさらにブラッシュアップしていきます。

学生の皆さんはチャンスをつかんでいます

浜松キャンパスのS-Port(正門すぐ左手)の前にある高柳健次郎先生の像だけでなくその横のIEEEマイルストーンも御覧ください。IEEEマイルストーンは世界に約200件(日本に約40件)あり,「技術の分野のノーベル賞」と言われています。このIEEEマイルストーンがキャンパス内にある大学は日本でもとても少なく,学生の皆さんは、そのような偉業を感じられるキャンパスで教育研究を受けられるというチャンスをつかんでいます。ぜひそれを活かしてください。

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学生の皆さん,ならびに研究者の皆さん,共に切磋琢磨しましょう。また,保護者の皆様、社会の皆様には私共の研究活動にご理解をいただき,今後ともご支援とご協力を賜りますようお願いいたします。